運命
ベートーヴェン : 交響曲第5番 「運命」・第6番 「田園」・第7番・第8番
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『最新のテクノロジーでよみがえる不滅の芸術』
 この2枚組を含む「不滅のトスカニーニ」のシリーズは、オリジナル・マスター・テープから、「UV22スーパー・・・」とかいう技術を用いてリマスターされたものだそうで、確かに音響の面で飛躍的な向上が認められる。私の使っている小型のステレオでも、広がりと奥行きが感じられるし、バスの響きも豊かさを増している。録音は、1951〜52年、カーネギー・ホール。

 演奏のほうは、もちろん素晴らしい。交響曲第5番は、まさに模範的な名演。完璧にバランスのとれたアンサンブルが達成されていて、整然とした古典主義の建造物を仰ぎ見るような感慨に打たれる。第4楽章も一貫したテンポで進んでゆくが、強力な意志によって秩序づけられたエネルギーがみなぎっている。第6番は、ブルーノ・ワルター風の叡には欠ける(第5楽章のリズムなど)が、これもまた色鮮やかな音による風景画だ。第1楽章など、新緑の中を蒸気機関車が元気よく走ってゆく様子が目に浮かぶ。第2楽章の木管の柔らかな表情も魅力的だし、第3楽章などフォーク・ダンスに興じる村人たちの、労働に鍛えられた筋肉のような、たくましさがある。第7番については、私は、1936年のニューヨーク・フィルとの演奏も素晴らしいと思うのだが、こちらの演奏は、バスの響きが強力で、何やら凄みを増しているように感じられる。第2楽章アレグレットのテンポは、ドイツの指揮者に比べると速めだそうだが、現代の我々にちょうどよいのではないか。第3楽章スケルツォのトリオも速めでかっこいいし、第4楽章もきびきびしていて気持ちがよい。そして、このメスクで何よりうれしいのが、チャーミングな交響曲第8番の、最高に素敵な演奏が聴けることだ。第1楽章の始めから、真っ青な夏空を思わせるような開放感がある。トントントンと調子よく始まる第2楽章も何とも楽しげだし、弦をかき鳴らすところも汚くならない。第3楽章は、宮廷舞踊というよりは、村祭りを思い浮かべてしまうが、トリオなど屋外でのダンスの雰囲気がよく出ている。第4楽章も、ソロソロ行くところとガツーンとやるところの対比がうまく出ていて、ベートーベンの卓越したユーモアを感じさせる。
 


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